日本海岸林学会

Japanese Society of Coastal Forest

各地の海岸林

鹿児島県

鹿児島県

吹上浜

場所: 鹿児島県いちき串木野市から日置市,南さつま市
全長: 47km(砂丘の全長)
面積: 1,400ha
保安林区分: 飛砂防備保安林,潮害防備保安林,保健保安林
主要構成樹種: クロマツ
特徴:

吹上浜は、鹿児島県薩摩半島に位置し、東シナ海に面している。南北約47km、幅0.5~2.6kmにわたり広がっており国内で一番長い砂丘である。日本三大砂丘の一つに指定されており、日本の渚100選、白砂青松100選にも選定されている。毎年5月には「吹上浜 砂の祭典」と題したイベントが開催され、毎年10万人を超える観光客が訪れ、地域資源として活用されている。吹上浜の海岸林は、昔から松くい虫にマツ枯れ被害を受けてきたことが報告されている。松くい虫による被害の記録が残されているのは明治末期の 明治40(1907)年頃であり、明治44(1911)年には4,589本のクロマツを伐採したとされている。戦後も松くい虫による被害は報告されおり、特に昭和40(1965)年頃からその被害が拡大している。被害の拡大に伴い、マツの予防対策や松くい虫の駆除対策と海岸林の造成が繰り返されてきた。このような対策が功を奏し、平成10(1998)年以降、松くい虫による被害はほとんど報告されなくなり、海岸林の防災機能は回復に向かっている。また、国や県、市町の行政機関と関係団体から構成される松林保全対策連絡協議会が地元住民によるボランティアと協力し、海岸林の保護と育成を行っている。そして、日置市では毎年7月の海の日に一般市民によるボランティアが吹上浜クリーン作戦と題して海岸や海岸林の清掃作業を実施している。

写真:鹿児島県吹上浜(提供者:寺本行芳氏)
写真:鹿児島県吹上浜(提供者:寺本行芳氏)
参考文献:
  • 中島勇喜,岡田穣編著(2011):海岸林との共生,山形大学出版会,218pp.
  • 寺本行芳,下川悦郎(2012):マツ枯れ後における海岸林の回復と飛砂―鹿児島県吹上砂丘を例にして―,水利科学No.325,PP.50-52
  • 吹上浜 砂の祭典 in 南さつま,2016.11.22閲覧