日本海岸林学会

Japanese Society of Coastal Forest

用語名 種子散布
よみがな しゅしさんぷ
定義 植物種子の散布様式には、風散布、水散布、重力散布、機械的散布の他に、動物散布がある。動物散布はさらに、被食体内通過型、同吐出型、体外付着型、過誤落下型、アリ運搬型および貯食型(caching)に分けられ、なかでも被食体内通過型と貯食型の2型が重要である。一般に、裸地、砂地等の無立木地における植生の発達は、まず風散布等による草本が定着したあと、同じく風散布による樹木が生育し、最後に動物散布による樹木が侵入するケースが多い。動物散布型のうち初期に遠方から侵入する種子は、大半が移動力の大きい野鳥によるものである。海岸林においても、自然条件の植生遷移はほぼ同様の過程をたどるであろう。そのようにして一度形成された森林は、その後さまざまの散布手段により維持されていくことになる。野鳥は森林から木の実を餌として供与される一方で、種子の散布を通して森林の更新、分布拡大に貢献している。海岸林においてもその健全性を損なうことなく、野鳥を保護管理することが、今後の海岸林の諸機能を高める上で大切であると考えられる。
参考文献 村井宏,石川政幸,遠藤治郎,只木良也(1992):日本の海岸林 : 多面的な環境機能とその活用,ソフトサイエンス社,PP.209-210