日本海岸林学会

Japanese Society of Coastal Forest

用語名 害虫制御
よみがな がいちゅうせいぎょ
定義 多くの野鳥は、繁殖期を中心に大量の昆虫類を雛や自身の餌として摂食する。特にガ類やハバチ類など食葉性幼虫(毛虫よりイモ虫を好む)を利用するが、海岸林でもマツ単純林では通常それらの幼虫は少ないようである(越智 1968)。このことが海岸マツ林に野鳥が多くない原因のひとつになっていると考えられる。野鳥が本来あるべき水準より少ない林では、昆虫類が異常発生しやすくなり、これが害虫として顕在化する。野鳥が多く生息すれば、局所的に発生した害虫を密度依存的に捕食し、常時低密度に抑えたり、大量発生に至る時間を遅延させる効果がある。ただし、一度害虫が大発生に至ってしまうと、野鳥だけの力で発生を抑制するのは難しい。そのため、野鳥をはじめ天敵類を林に多く棲まわせるなど、森林の環境抵抗力をつけることが害虫制御の基本対策である。
参考文献 村井宏,石川政幸,遠藤治郎,只木良也(1992):日本の海岸林 : 多面的な環境機能とその活用,ソフトサイエンス社,P.341